コーヒーについて

コーヒー豆のルーツ!コーヒーの木とコーヒーチェリーの栽培方法や原産国を解説!

2019年7月21日

コーヒーの木とコーヒーチェリー

 

コーヒー豆の栽培風景を見たことがありますか?

コーヒー豆って、私たちが目にする時には茶褐色の粒か粉末になっていることが多いですよね(笑)

 

日本ではコーヒー“豆”と呼んでますけど、豆ではなくて種なんですよ。

「コーヒーの木」になる果実「コーヒーチェリー」の種がコーヒー豆なんです。

 

この記事では、
コーヒー豆がどんな地域でどのように栽培されているのかについて詳しくご紹介します!

 

「コーヒーの木」とは

コーヒーノキとコーヒーチェリー出典:weblio辞典

コーヒーの木はアカネ科コフィア属の常緑樹で、背丈の低い低木の熱帯植物。
コーヒーノキとも書きます。

赤道付近のアフリカの国エチオピアが原産といわれています。

マメ科ではないのにコーヒーの木になる種をコーヒー豆と呼ぶようになったなんて不思議ですね~

 

コーヒーの木からコーヒー豆が収穫できるまで

コーヒーの木は種をまいてから40~60日くらいすると芽を出します。

苗木(ソルジャー)がある程度成長するまでは、直射日光から守るために寒冷紗(かんれいしゃ)などの日よけで覆った苗床で育てます。

苗木が40~50cmくらいに育ってきたら、農園に植え替えます。

それからコーヒー豆が収穫できるまでには3~5年かかります。

 

作付けから3年くらい経つと、ジャスミンのような甘い香りがする白い花が咲きます♪

花は、乾季が終わりをむかえ雨季に入る頃の雨、いわゆるブロッサムシャワーに刺激されて一気に咲き始めます。

コーヒーの花出典:みんなの園芸 NHK出版

花は大体3日で咲き終わると実をつけ、半年以上かけてゆっくり熟していきます。

緑色だった実が赤いサクランボのように真っ赤に熟すので「コーヒーチェリー」とか「レッドチェリー」と呼ばれたりもします。

赤色に熟したコーヒーチェリー出典:weblio辞典

品種によっては黄色に熟すものもあるんですよ。

この実の中にある種子が珈琲豆の正体!!

 

コーヒーの木は作付けから時間が経てば経つほどどんどん木が成長してしまうので、作業しやすいように2メートルほどの高さに枝を切ります。

また直射日光に弱いので、日よけになるシェードツリーとしてバナナやトウモロコシなどを一緒に植えることもあります。

 

収穫は毎年行われ、6~10年目くらいが収穫量のピーク。

1本の木でおよそ3~5kgの果実を収穫することができます。

南回帰線よりの地域は4~9月、北回帰線よりの地域は9~4月頃が収穫の時期。

ケニアのように年に2回雨季がある地域では、収穫も年に2回できることもあります。

 

15年ほど経つと根元から40cm程度で切り、切った幹のわきから新芽を出すことでその木を再生させるカットバックをすることもあります。

きちんと手入れをすれば、1本のコーヒーの木から30年以上もの間収穫できるんですよ。

 

 

「コーヒーチェリー」の構造

コーヒーチェリーは1.5~2cmほどの大きさで楕円形の形をしています。

完熟した果実は柔らかくて甘みがあるのでそのままでも食べられますが、果肉部分が少ないので食用はされていません。

果実は主に肥料として使われます。

 

コーヒーチェリーは、外側から「外皮」⇒「果肉」⇒「内果皮」⇒「銀皮」⇒「種子」という構造になっています。

コーヒーチェリーの内部構造

出典:「珈琲完全バイブル」 ㈱ナツメ社

 

外皮(アウタースキン)

実の一番外側を覆っている硬い皮が「外皮」。

熟すと赤くなりますが、噛むと青臭いです。

 

果肉(パルプ)

果肉は、レモンなどの柑橘類に含まれるペクチンと繊維質からできていて、ゴムのような柔らかい弾力と甘くてぬるぬるとした触感がします。

 

内果皮(パーチメント)

黄土色の硬い皮が「内果皮」。

内果皮の表面は「ミュシレージ」という糖分を含んだねっとりとした膜で覆われています。

内果皮をきれいに剥がさずに焙煎してしまうと、欠点豆になってしまいます。

内果皮がついた状態で植えると、コーヒーの木の芽が出ます。

 

銀皮(シルバースキン)

銀皮は銀色の薄い膜のような皮。

焙煎すると焼け落ち、「チャフ」と呼ばれる焼けカスとして剥がれ落ちます。

種の内側には「センターカット」と呼ばれる部分があり、そこにも銀皮があります。

 

種子(グリーンコーヒー・グリーンビーンズ)

種子は緑色をした生豆で、コーヒー豆になる部分。

種は基本的には2粒で一組になっていて、楕円を半分に割ったような形をしています。

2つの種の接する面が平らで向かい合った形をしているので、「フラットビーン(平豆)」と呼ばれます。

一方、約10%の割合で片方の種がうまく育たずに楕円の種が1つしか入っていないことがあって、「ピーベリー(丸豆)」と呼ばれています。

ピーベリーとフラットビーンの味に差はほとんどありませんが、ピーベリーは希少価値があるため高値で取引されています。

ただし、国によっては欠点豆として扱われることもあります。

 

 

コーヒー豆の栽培が盛んな地域「コーヒーベルト」について

コーヒー豆は北緯25度から南緯25度の赤道付近の地域で栽培されていることから、この地域一帯を「コーヒーベルト」と呼んでいます。

 

出典:「田口護の珈琲大全」 NHK出版

では「コーヒーベルト」に共通している特徴を見ていきましょう。

 

気候

年間の平均気温が22度前後の熱帯・亜熱帯の温暖な気候で、暑すぎず寒すぎずな気候が適しています。

『赤道付近で栽培されているのに、暑すぎず寒すぎず??』と不思議に思うかもしれませんけど、
標高1000~1500メートルの涼しい高原で栽培されることが多いんです。

昼と夜の寒暖差が大きければ大きいほど、質のいいコーヒー豆ができます。

 

気温が高すぎると早く熟しすぎてしまったり、葉っぱにサビのような斑点ができる「さび病」が発生しやすくなります。

さび病は感染力が強く、最悪の場合農園全体の木が枯れてしまう壊滅的な被害になるケースもある恐ろしい病気なんですよ。

逆に気温が低すぎると、発育が悪くなって収穫量が下がってしまいます。

コーヒーの木は寒さに弱いので、冷害に見舞われるとひとたまりもありません。

5度以下の低温や霜も大敵です。

 

降水量

1年を通して1500~2000mlの安定した降水量が必要です。

たいていコーヒーの木の産地には雨季と乾季があります。

開花時期や成長期には雨がたくさん降って、乾季に収穫の時期をむかえるのがベストです。

 

土壌

コーヒーの木の栽培には、火山灰が積もった土質で、窒素やリン、カリウムを豊富に含んだ肥えた土壌が向いています。

pHは4.5~6.0程度の弱酸性の土が最適。

酸性が強い土壌で栽培されると、酸味が強いコーヒー豆になります。

水はけや通気性がいいので、山の斜面や高原・高地で栽培されることが多いです。

 

火山質の土壌といっても、石灰質土壌ではなく火山性土壌が適しています。

火山性土壌は、栄養分やミネラルが豊富で、水はけはいいものの、粘土質のところは十分な水分を含んでいるからです。

 

 

コーヒー豆の原産国

コーヒー豆は世界60数か国で栽培されています。

以前はコーヒー豆というと中南米のイメージが強かったですが、最近では東南アジアでもコーヒー豆の生産量が増えてきています。

 

国際連合食糧農業機関によれば、2017年のコーヒー豆の国別生産量は下図のようになっています。

コーヒー豆の国別生産量 2017年 比較用の棒グラフ

参考:国際連合食糧農業機関 - Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)より作成

 

出典:帝国書院

1位は不動のブラジル。
コーヒーといえばブラジルといっても過言ではないですよね。

昔に比べると徐々にシェアが減ってきているとはいえ、今もなおコーヒー豆の3割がブラジルで生産されています。

ブラジルはコーヒーの生産量が1位なだけでなく、消費量もアメリカに続いて2位です。

 

2位のベトナムは近年急速に生産量を拡大しています。

4位のインドネシアと合わせると、東南アジアの2か国だけで世界の4分の1のシェアを占めています。

国ごとの特徴については別の記事で詳しく触れたいと思いますので、そちらを参考にしてくださいね。

 

日本でもコーヒー豆を生産している地域はあることにはありますが、私たちが目にする機会はなかなかないですよね。

というのも、小笠原諸島や沖縄のごく一部の地域で生産が試みられているんですけど、市場に出回ることはほぼありません。

日本はコーヒー豆の栽培に向かない環境なので、作るのがなかなか難しいんですね。

でも、日本っていろいろ工夫するのが得意な国なので、そのうち日本産のコーヒー豆が流通する日も来るかもしれませんね。

 

 

まとめ

この記事ではコーヒーの木の栽培方法やコーヒーチェリーの構造、コーヒーベルトや原産国について見てきました。

コーヒー豆のルーツを知ると、コーヒーがますます美味しく感じられそうですね!(笑)

 

次回の記事では、
コーヒーの木からコーヒーチェリーを収穫した後、どうやってコーヒー豆になっていくのかについて見ていきましょう!!

コーヒーチェリーから生豆を取り出す4つの精製方法を解説します!

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参考資料

 

 

 

 

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