コーヒーについて

自宅でコーヒーのカッピングをマスターする方法について解説します!

 

前回の記事では、カッピングの目的や評価方法について紹介しました。

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コーヒーのカッピングについて解説します!

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今回の記事では、実際に自宅でコーヒーのカッピングをやるためのノウハウについて、解説します。

 

本来カッピングは、コーヒーが流通する中でその業界のプロが行う作業ですが、自宅でやるのにハードルが高いものでもありません。

とりたてて特別な器具を使うわけでもありませんし、広い場所を必要とするものでもありませんからね。

 

カッピングの大まかな流れとしては、乾いた粉の状態、お湯を注いだ後、温度が下がってからと、状態の変化に合わせて香味をチェックしていきます。

自宅でカッピングする時におさえるポイントとしては、コーヒー豆の量、焙煎度合い、挽き方、お湯の温度などは、基本的に同じ条件で行いましょう。

本格的な品評会のように細かいことにこだわる必要はありませんが、やり方が毎回バラバラでは正確に比較できません。

あとはそんなに構えずに、軽い気持ちでカッピングにチャレンジしてみましょう!

 

カッピングで準備するもの

カッピングには、次に挙げるものを準備しておきましょう。

 

カッピング用カップ

評価をするコーヒーを入れる容器。

品質にバラつきがないかを見るために、正式には4つ用意しますが、個人でやる分には2つで十分。

条件を揃えるために、なるべく形や大きさなどは同じ容器を使いましょう。

カッピング専用のものもあるので、本格的にやりたい!というのであればそちらを使ってみてもいいかもしれませんね。

 

すすぎ用カップ

同じスプーンを他のカップに使う前に、そのスプーンをすすぐための容器。

水かお湯を入れておきます。

スプーンがすすげれば、どんな大きさどんな素材でもOK。

 

スプーン

コーヒーをすすりやすい形状のスプーン。

小さすぎず深すぎず、先が丸いものが適しているので、スープ用のスプーンがあるとベスト。

カッピング専用のスプーンも販売されています。

 

吐き出し用カップ

口に含んだコーヒーを吐き出すための容器。

透明で中が見えるようなものは避けたほうがいい。

身近にあって手軽な紙コップなんかでもアリ。

 

カッピングフォーム

カッピングフォームというのは、カッピングした結果を記録するいわゆる採点シートのこと。

正式なカッピングフォームは、カッピングセミナーに参加して入手したり、Alliance for Coffee Excellence のWebサイトからダウンロードもできます。

COE方式のカッピングフォームはこちら。 COEカッピングフォーム

正式なフォーマットにこだわらなくても、普通のノートに記録するのでも全然OKです。

 

タイマー

カッピング用のボウルにお湯を注いでから経過した時間を計ります。

同じ条件でカッピングをするためにも、正確に計りましょう。

 

はかり

カッピングをするコーヒー豆の重さを量ります。

0.1g単位まで正確に量りたいので、できればデジタルのもの。

 

カッピングするコーヒー豆

正式にはハイローストに焙煎した豆を使います。

1つのカップにつき10gずつ準備します。

 

カッピングの手順

続いて、実際にどのような手順でカッピングをしていくのか見ていきましょう。

 

粉をカップに入れる

カッピングするコーヒー豆を10gずつ中挽き~中細挽きにし、カッピング用のカップに入れます。

 

既に挽いてあるものを使ってもいいですが、カッピングする直前に挽いたほうがより風味を感じられます。

数種類の豆をカッピングするときは、違う豆をカッピング用に挽く前に、その豆を少し挽いてミルやグラインダーの中から前に挽いた豆を取り除きましょう。

そうすることで、前に挽いた豆と後に挽く豆が混ざるのを防ぐことができますよ。

カッピングは、数種類の豆を一緒にやると豆ごとの特徴をより感じやすいです。

 

まずは、カップに入った粉の色を見て、カッピングフォームにある「ロースト」の項目を確認します。

 

ドライ

お湯を注ぐ前の粉の状態で、一旦香りをかいで、カッピングフォームの「アロマ」にある「ドライ」の項目を確認します。

この時カップをふると、より香りを感じやすいですよ。

 

クラスト

92~96℃くらいのお湯を、カップに180㏄ずつ注ぎます。

このとき、粉にまんべんなくお湯が行き渡るように、ドリップするようなイメージで注ぎましょう。

お湯を注いでから1分ほど経ったらまた香りをかいで、カッピングフォームの「アロマ」にある「クラスト」の項目を確認します。

このとき、カップを持ち上げたり揺らしたりせずに、鼻をカップに近づけて香りを確認するようにしましょう。

 

ブレーク

お湯を注いでから4分経ったら、スプーンで浮かんでいる粉を崩すように3、4回ゆっくりと上下にかき混ぜます。

このとき、カップに鼻を近づけて香りをかぎ、カッピングフォームの「アロマ」にある「ブレーク」の項目を確認します。

かき混ぜる時は、どのカップも同じ回数、同じ混ぜ方をしましょう。

また、毎回必ずお湯でスプーンをすすいでから別のカップをかき混ぜるようにして、コーヒー液が別のカップと混ざるのを防ぎましょう。

 

アクやカスを取り除く

カップの表面に浮かんだアクやカスをスプーンですくい取ります。

このとき、スプーンを2本使うと手早く取り除けますよ。

ここでも、別のカップに移る前にスプーンをお湯ですすいでくださいね。

 

味のチェック

コーヒー液をスプーンですくって、口の中全体に霧状に広がるようなイメージで「ズズーッ」と音を立てながら勢いよくすすります。

そうすると、香りが鼻に抜け、舌全体で味わいを感じることができます。

酸味、甘味、苦味などといった味覚は、それぞれ舌の中で感じられる部分が限定されているので、舌全体に同じようにコーヒー液が行き渡らないと正確な味を評価できませんからね。

 

一気にすべての評価項目を確認できないですから、何回やってもOKですよ。

温度が下がることで味に違いが出てくることもありますし。

 

口に含んだコーヒー液は、基本的には吐き出し用カップに吐き出しましょう。

絶対に飲んじゃダメってことはないですが、何種類もカッピングすると満腹になってしまったり、胃の負担になります。

 

そしてクドイですが、別のカップに移る前にスプーンはお湯ですすぎましょう。

 

採点

味のチェックをしながら、カッピングフォームの評価項目について確認していきましょう。

 

それぞれの評価項目については、前回の記事を参考にしてくださいね。

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コーヒーのカッピングについて解説します!

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8つの評価項目のうち、「フレーバー」「カップのきれいさ」「甘さ」「総合評価」は、比較的初心者でも評価しやすい項目です。

とっかかりとして、ここから始めてみてもいいかもしれませんね。

 

カッピングは、いろんなコーヒーを味わうことも大事ですが、感じた味に点数をつけて評価すること、言葉でその味わいを表現することも重要ですよ。

 

 

カッピングが上達するためには

カッピングの手順を見る限り、そんなに難しいことをしているようには感じないかもしれませんよね。

ところが実際にやってみると、どっちのほうがいい点数で、味や香りがどう違うのかなど、採点や表現の仕方に戸惑ってしまうこともしばしば。

数や経験を積むことはもちろん大事ですけど、むやみやたらにこなしても無意味です。

ここでは、効果的にカッピングが上達する方法をいくつかご紹介します。

 

カッピングセミナーへの参加

おすすめとしては、コーヒーの専門家から直々に教えてもらえるカッピングセミナーに参加することですね。

評価するポイントやコツについて具体的に説明してくれたり、実践を通していろいろ指摘もしてくれるでしょう。

カッピングセミナーは日本スペシャルティコーヒー協会でもやっていますが、会員になっていないと参加費22,000円とちょっとハードル高め。

他にもメーカーやコーヒーショップが主催しているものもあるので、こっちのほうが気軽に参加できるかもしれません。

 

飲み比べ

タイプの違うコーヒー豆を飲み比べることでも、カッピングは上達しますよ。

例えば、次のような比較です。

  • 生産エリア別 --- 中南米とアジア
  • 生産処理別 --- ナチュラルとウォッシュド
  • 生産地の標高別
  • ランク別 --- コマーシャルコーヒーとスペシャルティコーヒー
  • 品種別 --- ティピカとブルボン(上級者向け)

飲み比べをする時は、どのカップにどのタイプのコーヒー豆が入っているかは分からないようにしておきましょう。

事前にそういった情報が頭にあると、先入観や思い込みで正しい評価ができなくなってしまいます。

 

トライアンギュレーション

カッピングが上達するトレーニング法の一つに、「トライアンギュレーション」があります。

飲み比べの延長のようなもので、カッピングをして、3つのカップの中で種類の違うものを1つ当てるというものです。

ゲーム性があるので、友達と遊び感覚で楽しみながらトレーニングできますよ。

 

コーヒー仲間との意見交換

カッピングセミナーやトライアンギュレーションもそうですけど、いろんな人とカッピングを通して感想や意見を言い合うことも大切です。

まず、自分はそのコーヒーの味をどう感じたのか、どう評価したのかを言葉で表現して相手に伝える能力が身につきますよね。

一方で、それに対して相手は自分と違った感じ方や評価をしていると、勉強にもなりますし、違った発見があったりもします。

自分の評価の偏りや傾向、苦手な項目なんかにも気づけますし。

 

フレーバーの表現

カッピングの中で点数をつけるのももちろん難しいですが、特にフレーバーをいかに的確な言葉で表現するかが難しくて、それには経験が必要になってきます。

とはいえ、フレーバーが個性的なスペシャルティコーヒーにとっては、フレーバーの表現の仕方はとても重要なポイントです。

 

フレーバーをうまく表現できるようになるためには、次のようなことを意識しましょう。

まず、フレーバーは温度が高いほうがよりはっきり違いが分かるので、8つの評価項目の中でも早めにチェックしておきましょう。

また、他の人もイメージが湧きやすいように、フレーバーは植物や食べ物に例えて表現されることが多いです。

なので、まずは植物や食べ物の香味を意識して生活することが大切です。

人工的に作られた香料が入った洗剤や化粧品、ジャムやジュースのように果物を加工したものは分比較的分かりやすいので、まずはこういった香味から把握してみましょう。

そして、的を得た言葉でフレーバーを表現するために、フレーバー表やフレーバーホイールを活用しましょう。

いきなりピンポイントで何かに例えるよりも、大きな分類から段階を踏んで絞り込んで、より細かい分類のものに例えていくことで、自分が感じたフレーバーを的確に表現する近道になります。

『急がば回れ』の精神とでもいうんですかね♪

 

フレーバーに正解はありません。

味覚は人によって違いますから、恐れずに自分の感覚を信じてフレーバーを表現してみましょう!

 

まとめ

この記事では、カッピングの具体的な手順と上達法について見てきました。

カッピングをマスターすれば、味覚が研ぎ澄まされてきて、いろんなコーヒーの味が分かるようになると同時に、今まで知らなかった自分の味の好みにも気づけますよ。

コーヒーの選択肢も広がって、コーヒー選びが楽しくなること間違いなしです♪

 








 

 

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