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コーヒー豆の品種(アラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種等)とは何か?徹底解説!

2019年9月7日

 

コーヒーの木はアカネ科コフィア属の常緑樹のことで、コフィア属には120種あまりの植物が存在しています。

コーヒーの栽培品種は、様々な突然変異や品種改良を重ね、今もなお増え続けています。

 

市場に流通しているのは、主にアラビカ種とカネフォラ種の二つ。

この二種で、なんと世界で生産されているコーヒーの99%を占めてしまうんですよ!

それにリベリカ種を加えて「コーヒーの三原種」と呼ばれたりもします。

 

この記事では、
コーヒーの三原種とその中でも年々増えているアラビカ種の栽培品種について、詳しく解説していきますね!

 

アラビカ種とは

アラビカ種は、高品質なコーヒーとしてよく飲まれている代表的な品種で、コーヒー豆総生産量の3分の2以上を占めています。

コーヒー専門店やカフェ、小売店などで売られているコーヒー豆は、ほとんどがアラビカ種。

大粒で風味がよいので人気が高いです。

 

アラビカ種の細長い葉っぱ

一方で病虫害に弱く、気候・雨量・土壌など栽培するのに適した環境の条件が厳しいです。

サビ病になりやすいため、手間がかかるわりに収穫量があまり多くなく生産性が低いのがコーヒー農園の悩みのたね。
※サビ病とはカビの一種であるサビ病菌が原因で発症する植物の病気。

生産性を少しでも高めるため世界各地で品種改良が進められて、現在では数多くの個性的な栽培品種が誕生しています。

アラビカ種同士の交配だけでなく、アラビカ種とカネフォラ種を交配させたハイブリッド種もあるんですよ。

 

アラビカ種の生産地は全世界にまたがります。

中南米、アフリカ、アジアなど、あらゆるコーヒー生産国で栽培されていますよ。

 

アラビカ種の特徴まとめ

1 生産量 70~80%
2 原産地 エチオピア
3 樹高 5m前後まで伸びるが、2m以内に剪定される
4 豆の形 楕円形で平べったい
5 風味 香りと酸味が豊かで滑らかな口あたり
6 栽培に適した土地 800~2000m 比較的標高の高い高地が栽培に向いている
7 栽培に適した気温 15~24℃ 低温でも高温でも栽培が難しく適度に温暖な気候が必要 多湿にも弱い
8 栽培に適した年間雨量 1500~2000mm 雨量が多くても少なくても栽培が難しい
9 1本あたりの収穫量 比較的多め
10 病虫害への耐性 弱い
11 収穫までに要する年数 3~4年

 

 

カネフォラ種(ロブスタ種)とは

カネフォラ種、ロブスタ種の豆の形

カネフォラ種は、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料になったり、ほかの豆とブレンドして飲まれています。

 

アラビカ種と違い栽培品種が少なく、生産されているカネフォラ種の大半がロブスタ種。

そのため、カネフォラ種の中の一栽培品種であるロブスタ種が今ではカネフォラ種をさす別名にもなっています。

 

カネフォラ種は病虫害に強く収穫量が多いですが、味の面ではアラビカ種にかないません。

特にロブ臭と呼ばれる独特の土臭い香りと苦味があり、ストレートで飲むのには適しません。

 

カネフォラ種は高温多湿の気候でも栽培できるので、アラビカ種が生産できない地域でも栽培されています。

主な生産国は、ベトナム、インドネシアなどの東南アジアやアンゴラ、コートジボアールなどの中央・西アフリカ諸国です。

 

カネフォラ種の特徴まとめ

1 生産量 20~30%
2 原産地 コンゴ
3 樹高 10mまで伸びるが、短く剪定される
4 豆の形 ころっと丸くてずんぐりした楕円形
5 風味 酸味が少なく苦味が強め カフェインが多い ロブスタ臭・ロブ臭といわれる独特の異臭がある
6 栽培に適した土地 500~800m 比較的標高の低い低地で栽培
7 栽培に適した気温 24~30℃ 低温に弱く高温に強い 多湿にも強い
8 栽培に適した年間雨量 2000~3000mm 多雨に強い
9 1本あたりの収穫量 多い
10 病虫害への耐性 強い サビ病にも強い
11 収穫までに要する年数 3年

 

 

リベリカ種

リベリカ種は、原産地のリベリアを含む一部の地域で栽培されていますが、コーヒー総生産量の1%にも満たず市場にはほとんど流通していません。

ヨーロッパで多少消費される以外は、基本的にリベリア国内で消費されたり、研究用として使われています。

日本では滅多にお目にかかることはできませんね。

 

リベリカ種の強みは、低地や平地で栽培ができ、気温の高低・湿度の高低・雨の多少といった環境に柔軟に適応できることです。

その一方で、アラビカ種より味が劣ること、生育にアラビカ種の倍の期間かかることなどが欠点。

 

主な生産国は、リベリア、コートジボアール、スリナム、ベトナムなどです。

 

リベリカ種の特徴まとめ

1 生産量 1%以下 ごく少量
2 原産地 リベリア
3 樹高 10~15m
4 豆の形 菱形で先端が尖っている
5 風味 苦味が強め
6 栽培に適した土地 平地や低地 標高200m以下の低地でも栽培可能
7 栽培に適した気温 15~30℃ 低温でも高温でも栽培可能
8 栽培に適した年間雨量 雨量が多くても少なくても栽培可能
9 1本あたりの収穫量 少ない
10 病虫害への耐性 一部の病気には強い
11  収穫までに要する年数 5年

 

 

アラビカ種から派生した栽培品種

アラビカ種は味が良い一方で栽培するのが難しいため、少しでも効率的にたくさん収穫できるように品種改良が行われてきました。

アラビカ種の栽培品種を見ていくと、品種改良の歴史をたどることにもなりますよ。

ここからは、アラビカ種の栽培品種の特徴について紹介していきますね!

 

ティピカ

ティピカの豆の形

ティピカとブルボンはアラビカ種の二大在来品種で、アラビカ種から派生した品種の中でも最も古く原種に近い品種です。

現存する品種の大部分が、ティピカとブルボンのどちらかの品種の突然変異か人工交配によって生まれたんですよ。

ティピカは、エチオピアからカリブ海の島の一つであるマルティニーク島へ伝わって、そこで生まれた品種です。

 

豆の形は、細長く、先っぽが尖っています。

やわらかい酸味と香りのよさが特徴ですが、生産性が低く、サビ病にも弱いです。

生産性が低くなる要因は、1年おきにしか収穫できない隔年収穫なこと、日よけになるシェードツリーを植える必要があること、樹が3.5m~4mの高さまで伸びるので収穫しづらかったり剪定の手間がかかってしまうことなどが挙げられます。

 

ブルボン

ブルボンの豆の形

ブルボンはティピカの突然変異種で、二大在来品種の一つ。

インド洋に浮かぶブルボン島(現在のレユニオン島)へ移植されたことが発祥です。

 

豆は小さめで丸みを帯びていて、濃厚なコクとまろやかな甘味が特徴です。

ティピカと比べると枝が多く短期間で完熟するので収穫量は2~3割多いんですけど、1年おきにしか収穫できないので他の品種より生産性は劣ります。

 

ゲイシャ

ゲイシャの豆の形

ゲイシャはエチオピア原産の野生品種で、一部の限られた地域でしか栽培されていません。

 

豆の形は細長くて、香りの強さとさわやかな酸味が特徴です。

収穫量が少なく、生産性は低いです。

 

カトゥーラ(カツーラ)

カトゥーラの豆の形

カトゥーラは、樹高の低い矮小(わいしょう)種として代表的な品種で、ブラジルで発見されたブルボンの突然変異種。

グアテマラやコスタリカといった中米諸国の主要な品種の一つです。

 

ブルボンと形は似ていますが、小粒で片方の先端がやや尖っています。

豊かな酸味とやや強めの渋味があり、標高が高いところで栽培されたものほど上質な味わいになります。

1年おきの収穫ではあるものの、枝が多く1本の木から収穫できる量がティピカの3倍近くあって、なおかつサビ病にも強いです。

標高450m~1700m、年間降雨量2500mm~3500mmの中高地が、栽培に適しています。

 

ムンドノーボ

ムンドノーボは、ブラジルで発見されたブルボンとスマトラ(スマトラ島で栽培される品種)の自然交配種。

カトゥーラ、カトゥアイと並んで、ブラジルで広く栽培されている主力品種の一つです。

 

豆は中粒~大粒で、酸味、甘味、苦味のバランスの取れた味わいが特徴。

様々な環境に適応できて、病虫害にも強いです。

収穫量は多いものの生育はやや遅めで、樹高が3m以上とやや高く伸びてしまうので剪定の手間がかかります。

 

ちなみに、ムンド・ノーボは「新世界」という意味なんですよ。
コーヒートリビア!

 

カトゥアイ(カツアイ)

カトゥアイはカトゥーラとムンドノーボの交配種。

 

味はムンドノーボと近くてシンプルですが、コクがなくやや単調に感じます。

強風や大雨でも実が落ちにくく病虫害にも強いです。

樹高が低いため剪定の手間がかからず、カトゥーラと違って毎年収穫できるため収穫量が多いです。

中南米諸国で広く栽培されていますよ。

 

「カトゥアイ」と聞いて「加藤あい」を連想するのは私だけでしょうか…

 

マラゴジッペ(マラゴジーペ)

マラゴジッペの豆の形

マラゴジッペは、ブラジルで発見されたティピカの突然変異種で「ジャイアントビーン」と呼ばれることもあります。

 

豆はとても大粒で、ティピカよりもひとまわり大きいのが特徴。

味はやや大味ではあるものの特有の風味が感じられます。

見た目の良さもあって、一部の市場では人気があります。

収穫量は少なくて、ティピカやブルボンより樹高が高い品種です。

 

パカマラ(パッカマラ)

パカマラの豆の形

パカマラは、エルサルバドルで開発されたマラゴジッペとパカス(エルサルバドルで発見されたブルボンの突然変異種)の人工交配種。

 

豆のサイズが大きく、先端はつまった形をしています。

スッキリとした酸味と高い香りが特徴で、高い標高で栽培されたものほど甘味が強くなります。

収穫量は少なく、エルサルバドルやグアテマラなどの中米諸国で栽培されています。

 

ビジャサルチ

ビジャサルチの豆の形

ビジャサルチは、コスタリカで発見されたブルボンの突然変異種です。

 

形はブルボンに似ていますが、やや小粒で細長め。

味の特徴は風味の良さ。

収穫量は少ない品種です。

樹高は低く、標高1200m~1600mの高地が栽培に適しています。

 

まとめ

「コーヒーの三原種」とアラビカ種の品種について詳しく見てきました。

品種って普段なかなか意識することってないですけど、大きな違いがあるんですよね。

実際に豆をみて何の品種か分かるようになったら、コーヒー通って感じがしますね♪

 

画像出典元:『珈琲の大辞典』成美堂出版

 

 

 

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