「キリマンジャロ」と言えば、コーヒーか山のイメージですよね。
でも、キリマンジャロが、一体どのあたりにある山か知ってる人は少ないのではないでしょうか。
タンザニアにある山なんですが、「タンザニア」と聞いてもなお「??」かもしれませんね。
名前の響きからして、なんとなくアフリカっぽい感じはしますけど(笑)
この記事では、キリマンジャロコーヒーとその生産国タンザニアについて詳しく解説します。
キリマンジャロコーヒーとは
キリマンジャロコーヒーは、標高5895mにもなるアフリカ最高峰のキリマンジャロ山からとってつけられた銘柄だというのは、もう言うまでもないですかね。
降水量が多く火山性の肥沃な土壌をもつキリマンジャロ山のふもとがメインの生産地で、なかでもアルーシャやモシといった地域が有名です。
キリマンジャロ山のふもとに限らず、ビクトリア湖の西に位置するブコバを除けば、タンザニアで作られたアラビカ種のコーヒー豆はすべて「キリマンジャロ」です。
そんな広い範囲だったなんて、ちょっと驚きですよね。
日本ではキリマンジャロコーヒーがとても馴染みのあるポピュラーな銘柄になっていますが、それはアメリカで1952年に製作されたヘミングウェイ原作の「キリマンジャロの雪」という映画が、日本でヒットしたことがきっかけとも言われています。
この映画を観たことはありませんが、あらすじを読む限りではキリマンジャロの山は出てきても、コーヒーはあまり関係なさそうなんですけどね。
何が人気に火をつけるのかって、ホント分からないものですね(笑)
キリマンジャロの風味の特徴
フルーティで強い酸味の後に、甘酸っぱい香りと上品でさわやかな後味が口の中に広がります。
ストレートで楽しむなら中煎りで焙煎してもいいですし、ちょっと深煎りにするとコクや苦味が増して、もともと強い酸味とのバランスが絶妙に取れてきます。
さらに深煎りにすると濃厚なコクに香りも加わり、エスプレッソやアイスコーヒー向きになります。
しかも、キリマンジャロはミルクや砂糖を加えても風味を損なうことがないので、いろんな焙煎や淹れ方をしてバリエーション豊かな味わいを楽しむことができますよ。
キリマンジャロの等級と格付け
タンザニアではスクリーンサイズと重さによって格付けされています。
等級は、次のような分類がされています。
- AA --- スクリーンサイズ 6.75mm以上
- A --- スクリーンサイズ 6.25~6.75mm
- B --- スクリーンサイズ 6.15~6.25mm
- C --- スクリーンサイズ 5.9~6.15mm
- AF --- 「AA」「A」のうち軽い豆
- TT --- 「B」のうち軽い豆
- F --- 「AF」「TT」の中でもさらに軽い豆
一番サイズが大きくて最高級の豆が「AA」と格付けされます。
タンザニアの基礎情報
- 国名:タンザニア連合共和国
- 首都:ドドマ(法律上の首都)、ダルエスサラーム(事実上の首都)
- 人口:約5632万人
- 言語:スワヒリ語
- 面積:約94万5000㎢(日本の約2.5倍ほどの大きさ)
キリマンジャロコーヒーを生産しているタンザニアは、東アフリカで最も国土が広く、自然豊かで多くの野生動物が生息する国です。
北東部にそびえるアフリカ最高峰のキリマンジャロ山は有名ですが、水資源にも恵まれていて、北部には世界で3番目の面積を誇るビクトリア湖、西部には世界で2番目の深さのタンガニーカ湖、南部には世界有数のマラウイ湖(別名:ニアサ湖)があります。
世界に占めるタンザニアのコーヒー生産量は1%にも満たないものの、タンザニアにとってコーヒー豆は主要な輸出農作物の一つです。
生産されたコーヒー豆は、タンザニア国内ではほぼ消費されることなく輸出されています。
コーヒー豆を生産しているのは9割以上が家族経営の小規模農家で、その数は40万世帯を超えます。
タンザニアの栽培品種と生産状況
タンザニアでは、一部の地域ではロブスタ種も栽培されているものの大半がアラビカ種で、ブルボンや元々インドの品種のケントを栽培しています。
ちなみに、タンザニアには「ブルーマウンテン」という品種も存在します。
あくまでも品種であって、ジャマイカのように銘柄ではありません。
というのも、タンザニアでは、もともとジャマイカのブルーマウンテン地区から種子を持ち込んで栽培が始まったわけですが、「ブルーマウンテン」と名乗れるのはブルーマウンテン地区で栽培されたものに限られるので、タンザニアでは別の銘柄として出荷されているんです。
アラビカ種は7~2月に収穫期を迎え、ほとんどがウォッシュドで精製処理されます。(ブコバでは、アラビカ種もナチュラルで精製処理されています。)
一方のロブスタ種は4~12月が収穫期で、ナチュラルで精製処理されています。
タンザニアでコーヒー豆を生産しているのは大半が小規模農家なので、安定的に品質の高いコーヒー豆を生産するために、最近では「セントラル・パルパリー・ユニット(Central Pulpery Unit / CPU)」という共通の果肉除去設備を使って精製処理を行うことが推進されています。
タンザニアの主な生産地
タンザニアコーヒーの主要な生産地は、キリマンジャロのふもとのアルーシャやモシのほかにも、タンザニアの国土のふち周りに点在しています。
地域区分 | 代表的な生産地 |
北東部 | アルーシャ、モシ |
南部 | ルブマ、ムビンガ、ムベヤ |
西部 | キゴマ |
北西部 | カゲラ、ブコバ |
北西部に位置するビクトリア湖沿岸の都市ブコバでは、タンザニアでは珍しくロブスタ種を中心に栽培しています。
しかも、ブコバで栽培しているアラビカ種もロブスタ種も、ナチュラルで精製処理されるのが特徴です。
また以前は、北部と比べると南部で作られたコーヒー豆の品質はいまいちでしたが、最近では品質が向上しつつあり将来を期待される生産地へと成長を遂げています。
タンザニアの代表的なコーヒー豆・農園
続いて、タンザニアで有名なコーヒー豆をいくつかご紹介します。
タンザニア ブラックバーン農園
タンザニア北部でキリマンジャロ山の西側に位置する、標高3188mのオルデアニ山の斜面にある農園です。
標高は1760~1950mになる高地で、高い品質のコーヒー豆を安定的に生産しています。
ブラックバーン農園の農園主であるミハエル・ゲルケン氏は、タンザニアでは海外在住のオーナーが多い中、現地に住みながら農園の生産管理に積極的に取り組んでいます。
農園は、一部が「ンゴロンゴロ保全地域」に含まれている自然豊かな土地ということもあり、その自然を守りながら、そこに生息する野生動物とも共存を目指した運営がされています。
「ンゴロンゴロ保全地域」は火山の噴火によってできたカルデラに広がる大平原で、1979年にユネスコの世界自然遺産に登録された自然保護区です。
そこでは絶滅寸前の貴重な野生動物たちが自由に暮らしているので、農地をバッファローやゾウなどの大型の野生動物が行きかうこともよくあるそう。
こうした野生動物の暮らしも守りつつ、農園は農園で野生動物からコーヒーの木を守るために、さまざまな工夫を施しながらコーヒー豆の生産を行っています。
- エリア:アルーシャ州カラツ県オルディアニ地区
- 標高:1760~1950m
- 品種:ブルボン、ケント
- 精製:ウォッシュド
ルブマAAA ロマンティック・アンサンブル
タンザニアの事実上の首都ダルエスサラームから1000㎞も離れた、タンザニア南部ルブマ州ムビンガ県で作られているコーヒー豆。
標高1400~1900m、降水量も1600mlと多くコーヒー豆を栽培する環境には恵まれていたものの、精製処理をきちんと行っていないため品質としてはいまいちで、かつてはコマーシャルコーヒーの産地として位置づけられていました。
ところが、1990年代後半に立派な精製工場が建てられたことで、世界に通用する高品質なコーヒー豆として注目されるようになりました。
コーヒー豆の粒が大きいのが特徴で、最高級の等級「AA」の中でも大粒なものということで「AAA」として販売されています。
- エリア:ルブマ州ムビンガ県
- 標高:1400~1900m
- 品種:ブルボン
- 精製:ウォッシュド
- スクリーンサイズ:18(7mm)以上
まとめ
この記事では、キリマンジャロコーヒーとタンザニアの特徴について見てきました。
キリマンジャロコーヒーは、特に制約がなく自由な飲み方をしてもそれぞれの良さを発揮するのが魅力です。
どの程度焙煎してどんな淹れ方をするとどんな味わいになるのか、実際にいろいろ試して違いを感じてみるのもアリですよ♪