コーヒー豆を生豆で買ったことがありますか?
自分好みのコーヒーを飲みたい時には、生豆を買ってきて自家焙煎する人も珍しくありません。
生豆を買う時に困るのが欠点豆。
生豆の中に紛れ込んでいることがあるんですよね。
欠点豆まで一緒に焙煎してしまうと『せっかく高いお金を出して買ったのに美味しくない!』なんてことに。
本来ならもっと美味しく飲めたはずなのに、もったいないですよね。
そこで重要なポイントになるのが、生豆にまぎれた欠点豆や異物を手で取り除く「ハンドピック」という作業です。
このひと手間で、コーヒーが断然美味しくなりますよ!
ここでは、欠点豆とハンドピックについて詳しく解説していきますね。
欠点豆の種類
コーヒー豆には、収穫の方法、精製の方法、輸送や保管の方法の問題で、どうしても欠点豆や異物がまぎれこんでしまいます。
ひとくちに欠点豆といっても種類がいろいろあって、その原因も豆に起きる現象もさまざまです。
それぞれの欠点豆の特徴について見ていきましょう。
未熟豆/ヴェルジ
未熟豆(ヴェルジ)とは、コーヒーチェリーが成熟しないうちに収穫されてしまった未成熟な豆のこと。
未熟豆が混入してしまうと、尋常じゃなくコーヒーの味が落ちます。
渋味と、青臭くて吐きそうになるほどの異臭を放ちます。
飲み物として”吐きそうになる”って致命傷ですよね…。
これは、なにがなんでも見つけて取り除かないと台無しですね!
未熟豆を機械を使った選別で取り除くのは難しいので、人間の手を使うハンドピックが必要です。
未熟豆は焙煎しても色づきが悪くアイボリーっぽい色になるので、焙煎した後のほうが見つけやすいですよ。
発酵豆
発酵豆とは、その名の通り発酵してしまった豆のこと。
取り除いておかないと、腐ったような独特の発酵臭と嫌な酸味の原因になってしまいます。
発酵豆は、発酵や水洗いの工程のあるウォッシュドで精製した場合にできがちです。
それ以外にも、収穫してすぐに精製作業に取りかからなかったり、精製後の保管中や輸送中に発酵してしまうこともあります。
見た目では分かりにくいので、ハンドピックで完全に取り除くのは至難の業です。
黒豆/ブラックビーン
黒豆とは、地面に落ちて土と長く触れていたことで黒くなったり、完全に発酵してしまって傷んだ豆のこと。
混入してしまうと、コーヒー液が濁ったり、腐敗臭が全体に広がってしまう原因になります。
黒豆は目で見て分かりやすいのでハンドピックもしやすいです。
カビ豆/カビ臭豆
カビ豆とは、乾燥が不十分だったり、精製後の輸送中や保管中に雨や湿気でカビが生えた豆のこと。
一粒でもカビ豆がまぎれこんでいると他の豆にも広がってしまったり、豆同士がくっついてしまったりします。
カビ臭さは焙煎しても取れないので、もれなくハンドピックで取り除いておきたいですね。
虫食い豆
虫食い豆とは、コーヒーベリーボーラー(別名:ブロッカ)などの害虫によって、穴が開いたり表面に黒いシミができた豆のこと。
コーヒーベリーボーラーが熟したコーヒーチェリーに卵を産み、その幼虫が実を食べることでできます。
混入すると、コーヒー液が濁ったり、悪臭の原因になります。
コッコ
コッコとは、脱穀がきちんとできていなかったり、果肉(パルプ)が残ったまま乾燥してしまった豆のこと。
アンモニアのような薬品のようなヨード臭(リオ臭・土臭)を放ちます。
「コッコ」とはポルトガル語で糞を意味するらしいです…。
コッコは黒っぽく変色しているので、ハンドピックしやすいですよ。
パーチメント
パーチメントとは、脱穀がきちんとできていなくて、内果皮(パーチメント)が残っている豆のこと。
渋味やえぐみが出てしまう原因になります。
火が通りにくくて、焙煎した時に皮の部分に火がついて燃えることもあります。
割れ豆/砕け豆
割れ豆とは、精製処理で脱穀をした時に割れてしまったり、輸送中に砕けてしまった豆のこと。
焙煎ムラの原因になります。
焙煎した後のほうが見つけやすいです。
貝殻豆
貝殻豆とは、遺伝や生育の問題で、精製や輸送中に種の内側にある「センターカット」から割れて貝殻のように変形してしまった豆のこと。
焙煎ムラの原因になるだけでなく、深煎りした時に火が着く危険があります。
焙煎の後のほうが見つけやすいです。
死豆
死豆とは、実が正常にならなかった白っぽい豆のこと。
風味が少なく、異臭の原因になります。
焙煎しても色づきが悪いので、焙煎した後のほうが見つけやすいです。
焦げ豆
焦げ豆とは、焙煎ムラがあったり、焙煎しすぎて焦げてしまった豆のこと。
焙煎した後に焦げ豆がないかチェックしましょう。
石・穀類
石や木くず、トウモロコシなどの穀物や種などの異物が生豆に混入することもあります。
収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日乾燥させるナチュラルの精製だと、より混入してしまいやすいです。
特に石やガラス片などは焙煎機やミルの刃を傷つけたりして故障の原因にもなるので、必ず取り除きましょう。
”食べられないから”というのはもちろんですけどね(笑)
ハンドピックとは
コーヒーの味を損なってしまう欠点豆や異物を手で取り除く作業を「ハンドピック」といいます。
ハンドピックは「精製した後」「焙煎する前」「焙煎した後」の主に3つの場面で行います。
グレードの低い生豆だったり、ナチュラルで精製された生豆だったりすると、欠点豆が多くなる傾向があります。
欠点豆が含まれる割合は、ウォッシュドなどで精製された豆で平均15~30%、ナチュラルだと40%にもなります。
「買ってきた生豆の3~4割も捨てることになるの~??」って感じですよね。
もったいないと思うのは当然なんですけど、割り切って捨てていかないと美味しいコーヒーには近づけません。
あなたがどんなに焙煎が上手だったとしても、欠点豆が含まれていたらコーヒーの味は落ちてしまうんです。
少しでも捨てる量を減らしたい、ハンドピックの手間を減らしたい場合には、精製度の高い、グレードの高い豆を買いましょう。
グレードが高い豆であれば、欠点豆の割合が数パーセントでおさまることもありますよ。
ハンドピックの手順と方法
豆が重ならないようにまんべんなくトレイに広げます。
一度に全部の豆を見ようとせずに、指で5つほどのブロックに区切ってそのブロックごとに見ていくと、集中力が維持でき欠点豆の見逃しも防げます。
漠然と欠点豆を探していても効率が悪いので、「色」⇒「ツヤ」⇒「形」の順番にチェックしていくのがおススメです。
「色」の違う欠点豆
「黒豆」
「ツヤ」の違う欠点豆
「未熟豆」「発酵豆」「死豆」
「形」が違う欠点豆
「貝殻豆」「虫食い豆」
欠点豆かどうか微妙なラインで迷ったら、思いきって取り除くように心がけましょう!
精製した後のハンドピック
コーヒーの生産地で、コーヒーチェリーを精製して生豆を取り出した後にもハンドピックは行われています。
最近では機械化が進んで、色の濃淡によって欠点豆を取り除く電子選別機や、風力を使って粒の大きさや重さごとに分ける比重選別機などの選別機を使うケースも増えてきました。
選別機も完全ではないので、選別機を通してからハンドピックを行うこともあります。
焙煎前のハンドピック
焙煎前のハンドピックでは、ツヤのないマットな素材の黒いトレイに豆を広げると欠点豆を見分けやすいです。
ツヤがあると光が反射して見にくくなってしまいます。
トレイに、ツヤのない黒い紙を敷くことでも代用できますよ。
焙煎後のハンドピック
焙煎してからのほうが見つけやすい欠点豆もあるので、焙煎した後にもハンドピックをしましょう。
焦げすぎた豆や色づきの悪い豆も取り除いておくと、味にまとまりができますよ。
茶色のコットン紙を敷いたトレイを使うと、焦げ具合の違いが分かりやすいです。
まとめ
この記事では、欠点豆の種類とハンドピックの手順&方法について見てきました。
機会があったら、あなたも生豆を買ってきてハンドピックにチャレンジしてみてはどうでしょう!?
自分で焙煎したコーヒーは格別ですよ♪
参考資料&画像出典元